課題研究

2024年度、研究会がリニューアルされました。今回が新研究会になって迎える初めての年会です。以下、各研究会が担当する課題研究の概要 です。

 ■教育資料研究会

テーマ:これからの時代の教育資料の構築と活用について

【コーディネータ】

齋藤陽子(岐阜女子大学)、長谷川春生(富山大学)、又吉斎(沖縄女子短期大学)

【趣旨】
 教育DXによって教育手法が大きく変化しており、これから社会で活躍していく児童生徒の学びの在り方も変わろうとしている。特に、情報を分析して活用する方法は大きく変革を遂げており、個別最適な学びと協働的な学びを支援するために、教育情報が利用者によって扱い方が異なるのではなく、交換、蓄積、分析の方法が共通化するように考える必要がある。
 また、これまで構築されている教育資料は未来の教育を考える上で貴重な存在であることは言うまでもない。さまざまな教育資料をどのように構築すれば良いか、また、大きく変わるであろう新しい教育の中でどのように活用すればいいかを考えてみたい。

 ■ 特別支援教育AT研究会

テーマ:  特別支援教育の「近未来」の学びの姿とその本質

【コーディネータ】
太田容次(京都ノートルダム女子大学) 、小川修史(兵庫教育大学)

【趣旨】
  本課題研究では、特別支援教育の「近未来」の学びの姿を、参会者の研究発表から考えたい。第40回年会テーマ・概要に示されているように、AIの発展やDX化、さらには新たな学びの価値観の創造などが様々な場で言われている。そこで、これまで特別支援教育における教育情報として蓄積されてきた教育実践や研究などから、AI/DX時代、すなわち「近未来」の特別支援教育について、「合理的配慮(国連:障害者の権利に関する条約に準拠)」におけるICT活用を含む学びを対象に、学びそのものが進化・発展していくものやその本質的は変わらないものがあろうと考えられる。本課題研究では特別支援教育の「近未来」の学びの姿とその本質について、参会者と共に研究発表を基に考えたい。

 ■ プログラミング教育研究会

テーマ:  AI&DX時代のプログラミング教育の在り方

【コーディネータ】
山本利一(埼玉大学 )、 小熊良一(群馬大学 )

【趣旨】
  AIリテラシーに関する指針が示され、時代は新しいステージに向かっている。プログラミング教育研究会では、各種発達段階におけるプログラミング教育の実践事例を収集すると共に、その効果を幅広く発信したいと考えています。昨年度の年会では、大妻女大学 本郷健教授(本会副会長)より,プログラミング教育の効果を脳科学の観点から特別講演を頂きました。プログラミング教育の効果を科学的に立証する研究提案は、学校教育におけるプログラミング教育の必要性を社会に大きくPRできたと思います。本会では、このような基礎研究と教育現場での実践研究を広く募集したいと思います 。

 ■ 教育技術研究会

テーマ:  学校における「近未来」の学びの姿とその本質

【コーディネータ】
佐藤典子(甲子園大学) 、治京玉記(奈良工業高等専門学校)

【趣旨】
  近年様々な分野でデジタル化が推進され、社会全体として目覚ましくAIが発展しており、DX化が進展しています。そして、学校においてもデジタル技術を活用する事が求められています。すべての学習者の可能性を引き出すためには、DX化を通して「個別最適化の学び」と「協同的な学び」が実現すると考えられています。コロナウイルス感染拡大によって学校においてもデジタル化が促進されましたが、コロナウイルス感染収束後にどのような姿が理想的なのか考える時期となっています。フィジカル空間とサイバー空間がいかにして融合していくのか、考える必要があります。「誰もが、いつでもどこからでも、誰とでも、自分らしく学べる社会」を実現するためには、学校における授業技術・教材開発の工夫が必要と言えます。学際的な教育研究により得られた知見を基盤に、実践と理論の融合を目指し,「近未来」の学びがどのような考え方のもと、どのようなものになっていくのか議論を深めたいと考えています。

 ■ グローバル教育研究会

テーマ:AI時代における教育・研究のグローバル化の在り方を模索する―「近未来」を見据えたグローバル人材育成に向けて―

【コーディネータ】
清水義彦(富山県立大学) , 陳那森(関西国際大学)

【趣旨】
グローバル教育研究会では、これまでの国際交流研究会同様、1.グローバル人材育成の在り方・教育手法研究、2.日本国内での留学生教育や海外からの人材の育成等の研究、3.日本教育情報学会における海外との学術交流や推進していく上での諸問題、課題の解決策の議論などを推進している。国際的な共同プロジェクトを視野に入れ、国内外の教育機関や研究機関、企業との連携を重視し、異なる専門領域の専門家が協力して問題にアプローチするプラットフォームを構築する。今回は「近未来」に焦点を当て、AI時代における国内外のグローバル人材の育成に向けた研究、教育実践、連携の在り方を多角的な視点で検討する。若者が柔軟かつ効果的な学びの環境にアクセスできる状況に応じた適切な戦略や枠組みを提案し、未来のグローバルリーダーや専門家が必要なスキル・知識・マインドを獲得できるような環境を構築するための手段を模索する時空を超えた活発な議論を目指す。

 ■ デジタルアーカイブ研究会

テーマ:デジタルアーカイブによる多様な学び

【コーディネータ】
井上透(岐阜女子大学) 、前川道博(長野大学)

【趣旨】
  社会のデジタル化により進展しつつある知識循環型社会の諸課題に着目し、DX化により社会教育、生涯学習、学校教育がどう変わるか、個人の知の深化、新たな知の探究をどう図るか、ジャパンサーチやEUのヨーロピアーナ等の分野横断統合ポータルをはじめ、デジタルアーカイブが教育・学習にどう役立つかを探究する。博物館、図書館等の社会教育施設においては、先人が育んだ地域の集合知である地域資料のデジタルアーカイブ化やその活用策、学校教育においては主体的で探究的な学びの情報源となる地域資料デジタルアーカイブの活用や、調べ学習、キュレーション学習の実践、MALUI(博物館、文書館、図書館、大学、産業)連携などが課題となろう。旧来の教育環境、学習環境にとらわれることなく、学びは今後より多様化していくものと思われる。デジタルアーカイブにより教育・学習をどうイノベートしていけるかを考えたい。

 ■ ICT活用研究会

 テーマ: 「近未来」の学びを支えるICTを活用した教育

【コーディネータ】
河野敏行 (岡山理科大学 ), 鍋谷正尉 (渋谷区立千駄ヶ谷小学校)

【趣旨】
 

AI/DX時代における教育を支えるために、ICTを最大限に活用し、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた取り組みについて議論する。そのために、以下のテーマを中心の議論・開発を行い、教育者の意識と技術を高めていくことをテーマとする。

  1. 全ての学習者に向けた教育サポートシステムおよび教材の開発
  2. 1人1台時代の学習を支える学校や授業の在り方についての研究
  3. ICTの活用促進のための具体的な学習環境や教材の開発
  4. プログラミング思考力、創造的能力、AIリテラシーを養う教育や授業の開発
  5. ライフスキル(非認知能力)を育てるPBLやSTEAM教育を活かしたカリキュラムの開発
  6. 主体的に生きる学習者のためのデジタルシティズンシップ教育
  7. 生涯を通して学び続けるためのICT活用

 ■ IR活用研究会

テーマ: AI/DX時代の大学を支えるIRの探求

【コーディネータ】
白鳥成彦(嘉悦大学),今井匠太朗(東京工業大学)

【趣旨】
  近年のデジタル環境は急速に変化し、これまでの常識は覆され、先の予測ができない時代と言われている。この様な急激な変化の中、高等教育機関では、教育・研究の新たな価値創造が求められている。変化を求められる環境においては、機関が行なってきた様々な活動を情報に基づいて評価し、素早い意思決定を必要とする。IRはこのような意思決定を支援する活動であり、変化を求められる時にこそ必要となる。本研究会ではそれぞれの高教育機関におけるIRの事例や知見を共有し、AI/DX時代の学びを支える組織内資源配分、計画立案、大学評価、内部質保証といった組織支援のあり方を議論し、各組織におけるIR活動の活性化、効率化を目指す。また、AIやDXそのものもIRに多大な影響を与えるものと位置付け、IRにおけるAIの活用やIR推進のためのDXの取り組みといった内容も扱う。

 ■ 「AIと教育」研究会

テーマ: AIと教育 ─生成AIの指導と活用を中心に─

【コーディネータ】
加納寛子(山形大学) ,野末俊比古(青山学院大学)

【趣旨】
教育・研究における生成AIの適切な使用方法についての研究は、AI技術の急速な発展と教育界でのその応用の拡大に伴い、重要性を増しています。本課題研究では、生成AIを教育現場で効果的に利用するための指導方法に焦点を当てます。特に、倫理的検証と教育学的設計プロセスにおける人間中心のアプローチの必要性を探求し、発達段階に応じた教育的アプローチを検討します。また、学生の批判的思考能力の育成、AI技術の理解と応用能力の向上、そしてAIに関するリテラシー教育の推進などについても検討します。研究会としては、教育者・学習者を含めたすべての人々が生成AIを学習過程に適切に統合し、学生の学習成果を最大化するための実践的な日本型生成AIガイドラインの構築を含め、「AIと教育」の在り方について提言していくことを目指します。