ご挨拶

 

  今夏に開催される年会は、40回を数え、ひとつの節目にあたる。そこで、この10年を振り返りつつ、次の10年──いわば近未来──を見据えた「学び」の在り方について考える機会としたい。

 ここ数回の年会テーマを見てもわかるとおり、「AI」「DX」は教育(学)における重要なキーワードである。「教育と情報」について広く扱う教育情報学にとって、「情報」に関わる両者は、現在および今後の教育について論じるにあたって外せないものといえよう。

 しかしながら、時代の変化を追うばかりでは、学問あるいは学会としての役割は果たせない。社会や技術がどんなに変わっていこうとも、人間が学ぶことの本質は変わるものではないからである。では、その本質とは何か──いまだからこそ、あらためて問われるべきではないだろうか。

  AIやDXに象徴されるとおり、ICTを基盤とする「情報化」がいっそう進むなかで、「学び」について、近未来の姿を見据えつつ、その本質を探究していくことは容易ではない。しかしながら、教育情報学あるいは教育情報学会の「よさ」は、多様な立場や視点、関心と経験、方法と知見を持った研究者──ここではもちろん実践者を含めている──が集まり、議論できるところにある。今回の年会は、まさにその「よさ」を活かしたものとなることを願って、標記テーマを設定した。

 いささか想いの先走った文章となったかもしれないが、テーマに込めた願いを記した。久しぶりの東京開催となる。幸い、会場は、鉄道でも航空機でも便利な場所にある。研究会がリニューアルして初めての年会でもある。多くの学会員──これを機会に入会する皆さんを含めて──に渋谷に足を運んでいただきたい。活発な議論がなされることを期待するとともに、年会の運営にあたってご理解、ご協力をお願いしてあいさつにかえたい。

第40回年会実行委員長 野末俊比古(青山学院大学)